健康維持や肥満予防などの目的で筋トレを取り入れている方も多いですね。でも運動する習慣がなかった方が急に無理をしたり、間違ったやり方をしてしまうと、却って体に支障をきたす事もあります。運動中や運動後の体の異変は「要注意」のサインです。その一つとして筋トレによる頭痛があります。そこでその原因と予防法についてまとめました。
筋トレで頭痛?
健康維持やダイエットに、または引き締まった体作りに筋トレはよく行われている手段だと思います。
しかしどんなことでもやり方を間違ってしまうと逆効果になったり、却って弊害が出てしまうこともあります。筋トレも同様で、張りきって思い切り踏ん張って息を止めて力んでしまうようなトレーニングでは頭痛を起こす可能性が心配されます。
筋トレ中もしくは筋トレ後など、体を使ったことで頭痛が起こることがあります。こうした運動などによる頭痛を「労作性頭痛」と言います。労作性頭痛は、良性労作性頭痛とも呼ばれおり、主な原因は血管が拡張することによって起こる頭痛だそうです。走った後や激しい運動の後や、重いものを持ったりしても起こりますが、くしゃみや咳でも労作性頭痛が起こるといいます。
また労作性頭痛以外にも筋トレなどの運動によって起こる頭痛には様々な原因が考えられます。そこで労作性頭痛をはじめとする筋トレによる頭痛の原因をいくつかまとめてみました。
筋トレによる頭痛の原因は?
脳内の血管の拡張
前述した労作性頭痛は、この血管の拡張が原因による頭痛と言われています。
体が慣れない運動を行ったり、体が温まっていないうちに急激に運動したりすると、動脈が拡がります。その際には頭周りの血管も拡張してしまうので、血管の周りの神経を刺激して痛みが起こるのではないかと考えられています。これを予防するには筋トレ前のウォーミングアップで十分に体を温めることが大変重要であると言われています。
酸欠
そもそも血管が拡張するのは、脳細胞の酸素不足を補うために血管を広げて血流量を増やすためです。
筋トレという運動によって血管が拡がることが原因であることに触れましたが、あまりに負荷をかけ過ぎてしまって酸欠になっているせいで血管が拡張していることも考えられます。
筋トレでは息を止めて歯を食いしばって、限界ギリギリまで力を入れてしまうことないですか?筋トレに限らず、必死に運動しているときは無意識に呼吸を忘れているか、呼吸が浅くなっていることがしばしば起こり得ます。こういった酸欠状態も頭痛の原因の一つであると言われています。
急激な血圧の上昇
筋肉を鍛えるのに効果的である無酸素運動ですが、呼吸を止めて一気に力を入れるような筋トレは急激に血圧を上げることにつながります。筋トレにによって血圧の高い状態が続くと、脳に水分がたまって脳圧が上昇して頭痛が起きるといわれています。
体内の水分不足
筋トレなどの運動中はこまめな水分補給が重要になります。できればのどが渇いたと感じる前に水分を補給するようにしましょう。体の水分が不足して脱水状態になると血液の循環が悪くなり、脳にも血液がうまく回らなくなるので頭痛が起こるそうです。
特に暑い夏は、脱水症状から頭痛を引き起こしたり、日光の強さからくる頭痛など、頭痛の危険性が高まります。熱中症などが起こりやすい環境は頭痛も引き起こしやすいといえるようです。つまり、労作性頭痛を引き起こしやすい季節であることを考慮して、運動の内容や継続する時間を見直すようにしましょう。
他にも食事を抜くことによる低血糖、汗をかいたことにより体の塩分が不足して起こる低ナトリウム血症なども頭痛の原因と考えられています。
どんな症状なの?受診したほうがいい?
どのくらいの痛みか
労作性頭痛の場合の痛みはどのくらいかというと、個人差やその時の状況によって違いはありますが、「こめかみがじんじんと強く痛む」「後頭部を殴られたような」「頭全体が痛み出して立っていられないほど」など。聞いただけでも相当な痛みであることが分かります。
頭痛だけではなく吐き気がある、目の前がかすむ、手足が震えるなどで上手に動かせない、言葉が上手に出てこないなど頭痛以外にも症状がみられる場合は筋トレによる労作性頭痛ではない可能性もあります。急な頭痛は脳の病気の症状の一つでもありますので、症状が頭痛だけでない場合はすぐに受診しましょう。
どのくらいで回復する?
このような労作性頭痛などの体を使うことによって起こる頭痛の場合は、しばらく安静にして休めば自然と治る場合がほとんどだそうですが、ひどい場合には運動を止めた後も1日以上痛みが続くこともあるといいます。
しかも、痛みが起こるのが運動直後ではなく、6時間程度経ってから痛くなったり、翌朝になって痛くなったりと、時間差があるのも特徴です。
頭痛の原因となる運動を無理しない程度に続けていると、2~3か月ほどのうちに体も慣れてきますので頭痛が起こらなくなることがほとんどのようですが、もちろん個人差があります。
または、脳の異常が隠れている可能性も否めませんので、予防法などの対策を取り入れても頭痛が続く場合には一度診察を受けておいた方がいいでしょう。
頭痛の予防方法
ウォーミングアップをしっかり行う
ウオーミングアップをしっかり行うという点については、頭痛の予防という意味だけでなく、運動をする上では非常に大切なことです。絶対に軽く考えずにきちんと行ったほうがいいそうです。
筋トレ前のウォーミングアップは、身体の柔軟性を高めることで運動傷害等のトラブルを予防する効果のほかに、体を温めるという効果もあります。この体を温めるということが頭痛予防には非常に重要です。
体が冷えていると血管が収縮した状態にありますが、それにも関わらず急に運動を始めることが労作性頭痛になる原因の一つですので、体中の血管を温めるようイメージしてウォーミングアップを行うようにするといいようです。特に体の冷えやすい冬場には注意が必要です。
こまめな水分補給を!エネルギー補給も忘れずに
できれば5~10分程度の間隔で、こまめに水分を補給する必要があります。1時間で500mlほどが目安となります。この「こまめに」というのが大事で、水分は小分けにして何度も飲む方が効果的だそうです。まとめて摂取するよりも、体内の水分が一定に保たれた状態を維持しやすいと言われています。また、水分補給は出来ればミネラルウォーターのようなきれいな水が適しているそうです。
最近のスポーツジムでは、様々な効果効能がうたわれている高濃度水素水などのサーバーを取り入れているところもありますね。
45分に1回は休憩を取るようにし、長めの休憩中にはエネルギー補給として軽く炭水化物を摂るといいそうです。ダイエットのためのトレーニングでも空腹で運動を続けることは低血糖になり、それも頭痛の引き金になる恐れがあります。
筋トレの効果を上げて、さらに低血糖をも防ぐ効果的な食べ物と言ったらやはりバナナでしょう。バナナには二種類の糖が含まれておりますので、非常に筋トレには効率がいいのです。まずバナナのブドウ糖や果糖は速やかに消化吸収されるので、早い段階でエネルギーになります。次にショ糖やオリゴ糖はゆっくり消化吸収されるのでじわじわと後発的にエネルギーに変換されます。つまり筋トレ前のバナナ1本で、筋トレ中のエネルギー補給も出来てしまうことになるということです。
他にはおにぎりやパンなどの炭水化物もエネルギー補給に向いてます。たんぱく質も一緒に摂取したい場合は鮭おにぎりや納豆巻きなどもいいですね。
トレーニング中に息を止めない
筋トレや運動などで負荷をかけるときに息を止めないようにします。こめかみの血管が浮き上がるほど息を止めて力んでしまうと、血圧も上がって血がのぼりやすくなって頭痛を起こしやすい状態になるといいます。
まずは普通に呼吸できる程度から始め、それから少しずつ負荷をかけていって無理のないポイントを探すようにしていきましょう。
基本的な筋トレの呼吸法は「力を入れている時に息を吐き、戻す時に息を吸う」ことだそうです。つまり力が必要な時に息を吐くということです。
これが息を止めて筋トレを続けると、酸欠で頭痛の原因になるだけでなく、筋肉の機能を発揮させることも出来ないので筋トレの効果まで期待できなくなってしまうそうです。
筋トレの効果と頭痛予防のたまにも呼吸法をきっちりと身につけた方がいいようですね。
筋トレ前に頭痛薬を飲んでおく
どうしてもの場合には、予め運動や筋トレの前に鎮痛剤などの頭痛薬を飲んでおくと、労作性頭痛の予防としては効果的と言います。また、コーヒーやコーラなどのカフェインを多く含むものは血管を拡げる作用があるので、筋トレ前には避けておいた方がいいでしょう。
クールダウンもしっかり!
ウォーミングアップよりもつい簡単に済ませがちなクールダウンですが、こちらも軽く考えてはいけません。筋トレの後のストレッチをきちんとやらないと、筋肉に疲労が溜まって固くなり、神経や血管を圧迫してしまうことにつながって、頭痛のみならず肩こりやしびれなどの原因にもなりかねません。
筋トレ後のストレッチは、筋肉の緊張を和らげて、筋肉内の血液循環が良くなるので、筋肉に溜まった疲労物質を積極的に押し流してくれます。これにより筋トレ後の筋肉痛などの痛みを軽減し、疲労回復を促進します。筋トレによる疲れを溜めないためにもクールダウンは必要です。
どんな人が起こりやすいの?
もともと偏頭痛を起こしやすい
偏頭痛も労作性頭痛と同じで、血管の拡張で起こるタイプの頭痛です。普段から「長風呂すると頭痛がする」とか「お酒を飲むと頭が痛くなる」などの人はこのタイプと考えられます。
運動する習慣がない
普段から運動する習慣がない人が急に運動を始めると、正しいやり方が身についてないこともあって頭痛が起こることがあるようです。
特に学生時代は運動部だったという人は筋トレやウエイトトレーニングの心得があるせいか、最近は全くと言っていいほど運動らしい運動をしていないのに、いきなり急激に始めてしまう人が多いようです。
でも体は正直で若いころのような無理がきかなくなっており、必死になってしまうので負荷がかかり過ぎて頭痛を引き起こすと考えられます。
とにかく今の自分の体に合った、無理のない筋トレから始めましょう。
たまたま体調が悪い
もちろん体調が悪い時に無理して筋トレすれば弊害があります。筋トレや運動は定期的に継続して行うことが大事だと言われますが、体調が悪い時は無理せず回復を待ちましょう。病み上がりの本調子でない時も急激なトレーニングは逆効果ですので、軽めにしましょう。
筋トレ中に頭痛がしたら・・・
頭痛がしたらトレーニング中止!!
筋トレ中に身体のどこかに痛みを感じるようであれば負荷のかけ過ぎが考えられます。特に頭痛の場合は慎重な対処が必要です。そのまま無理に筋トレを継続すると、重大な場合は失神やけいれんを起こす可能性もあります。または脳に異常がある可能性も否定できません。
深呼吸をして安静にする
頭痛が起きたら、ゆっくりと深呼吸をして安静にして休みましょう。横になれると一番いいですね。労作性頭痛の場合は一般的に薬などを服用しなくて安静にしていれば症状は落ち着いてきます。
ただし、頭痛が長引く場合や、どうしてもその運動をしなければならない(継続的な力仕事など重労働をしているなど)という場合は鎮痛剤で対処します。病院で処方される鎮痛剤を処方してもらうと安心です。
また頭痛が続いている間は筋トレを控え、治癒してから再開するようにしましょう。
最後に
急激に運動を始めたらなんとなく体に負担がかかりそうだということは知っていても、労作性頭痛などの症状についてはあまりご存知なかった方も多いと思います。ウォームアップ・クールダウンを軽視して適当にすませることのないように気をつけましょう。
また、水分補給やエネルギー補給も大事です。汗をかいたり、筋肉がよりエネルギーを使っている分を、補給しなくてならないことは当たり前のことなのですが、おろそかになったり、肥満予防だからと摂取量を極端に減らしたりしないようにしましょう。
そして筋トレ中は呼吸法ですね。これも筋肉のためだけではなく、頭痛を防ぐためにも必要なので、無呼吸にならないよう意識してみましょう。
そしてどうしても頭痛が長引いたり、頭痛以外の症状がある場合には一度病院を受診するようにしましょう。
健康のために筋トレをはじめたのに、体調不良になっては元も子もありません。健康的に楽しく筋トレを続けてください。