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肝嚢胞は珍しくない?誰にでも起こりえる疾患?5つの基礎知識と種類を解説!

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肝嚢胞という言葉を聞いたことがある人はどのくらいいいるでしょうか。あまり耳慣れない疾患ですが、発症頻度は決して低くありません。そんな肝嚢胞とはどのような疾患なのか。肝嚢胞の病態や治療方法、肝嚢胞が関連する疾患について紹介していきます。

肝嚢胞はわりとみられる疾患

肝嚢胞は肝臓の中に液体の入った袋ができる疾患です。普段あまり耳にしない疾患かもしれませんが、わりとみられる疾患であるとされています。嚢胞や腺腫、腫瘍など医学的に区別されているこれらの言葉をきちんと理解していますか?

一部例外もありますが、基本的には良性のものや悪性のものなどが言葉でわかるようになっています。嚢胞は袋がたくさんできる疾患で良性のことが多いです。では腺腫や腫瘍はどうなのでしょうか。肝嚢胞の病態や治療を理解するとともに、肝嚢胞から起こる腺腫や腫瘍などを紹介していきます。

肝嚢胞とは

肝嚢胞とは、上述したように肝臓の中に液体の入った袋ができる疾患です。先天性と後天性のものがあり、後天性のものには炎症性のものや腫瘍性のもの、そして寄生虫によるものなどがあります。単に肝嚢胞とのみ表記の場合は、通常は先天性で良性のものを指します。

まずは一般的に言われる先天性の良性肝嚢胞について、その病態や治療をみていきましょう。後天性のものについても後述します。

先天性肝嚢胞の多くは無症状で経過

先天性の肝嚢胞は無症状なことが多く、超音波検査などを行ったところたまたま見つかったということが多いようです。大きさが小さいことから症状を起こしにくく、肝機能も正常なことが多いためわかりにくいとされています。

小さいままであれば問題ないとされていますが、大きくなってくるものもあります。大きくなって腹部を圧迫するようになると、膨満感や胃の圧迫感、食欲の低下などが起こるようです。肝嚢胞の内部の液体などに感染が起こると発熱を起こすこともあるとされています。

原因は液体の貯留

肝嚢胞は液体の入った袋ができると上述したように、なんらかの原因で液体が貯留し増大することです。先天的に嚢胞ができており液体が貯留するということです。先天的に嚢胞がある場合でも孤立性といって限局しているものや、多発性といって複数できるものがあります。

また肝臓内だけでなく、胆管の肝臓内の部分にできる嚢胞もあります。これも孤立性と多発性があり、多発性の肝内胆管嚢胞はカロリー病と呼ばれる先天性疾患のひとつです。

カロリー病は先天性多発肝内胆管拡張症と言って小児慢性特定疾患に指定されており、先天的に胆管の組織の形成に異常があることが関連しているとされています。発症は幼児期から60歳代と幅広く、治療はこれも保存療法が主体のようです。肝腫大や難治性胆管炎・門脈圧亢進症などの合併が予後に影響するとされています。

中高年の女性に見つかることが多い

肝嚢胞がみつかるのは40代以降の女性が80%を占めるとされており、中高年の女性で見つかることが多いようです。腹部超音波検査が一般的によく行われるようになっていることもその要因とされています。上述のように無症状で経過し肝機能も正常なことから自覚がなく、超音波検査を受けたらたまたま見つかったというケースが多いようです。

また嚢胞自体は肝臓だけでなく、膵臓や腎臓にできていることもあるとされています。この場合は脳動脈瘤などが合併していることがあり注意が必要なようです。肝臓では右側の肝右葉にできることが多いとされています。

大きくなると破裂することも

肝嚢胞は無症状で経過していきますが、中には大きくなってくる場合もあります。8~10cmほどになってくると胃の圧迫感などなんらかの症状が出るようです。さらに大きくなると肝臓の栄養動脈である門脈の圧が高くなるとされています。

ごくまれではありますが、この大きくなった肝嚢胞が破裂することもあるようです。破裂や出血による肝機能障害などの症状が出ます。この場合は治療は手術をするしかありません。

CT検査などで嚢胞の原因を明らかにする

腹部超音波検査などの所見で肝嚢胞の存在が明らかになった場合もしくは疑いがある場合には、その嚢胞の原因や存在を明らかにする必要があります。先天的な良性のものなのか炎症などにより起こった嚢胞なのか、腫瘍性のものなのか感染によるものなのかなどです。これらの判別は超音波検査だけでは困難とされています。

検査としては造影CTで嚢胞のCT値を読み取るものが多いようですが、血液検査やMRIなど他の検査と合わせて判断する場合もあるようです。腹部超音波検査での肝嚢胞の検出頻度は3~15%とされています。鑑別疾患としては肝腫瘍や胆管拡張症などで、これらの疾患でも肝臓に嚢胞状の変化が起こるようです。

後天性の肝嚢胞について

後天性の肝嚢胞には、肝臓や胆管の炎症や外傷などが契機となって起こる貯留性の肝嚢胞、腺腫や腫瘍などが原因となって嚢胞が形成される肝嚢胞性腫瘍、寄生虫などへの感染によって起こる感染性肝嚢胞などがありあります。これらをひとつずつみていきましょう。

炎症などによる貯留性の肝嚢胞

貯留性の肝嚢胞は外傷や臓器の炎症が契機となって起こります。肝臓や胆管などで炎症が起こると漿液など組織液が分泌され、その液が貯留し嚢胞を形成するようになるということです。外傷も同様のことが言えます。

嚢胞が大きくなって圧迫が起き症状が出るなどのことがなければ治療しない場合もあるようです。しかし炎症が契機となって発熱することがみられることもあるようです。感染や出血がある場合は肝嚢胞の増大の原因になり治療対象になるとされています。

肝嚢胞腺腫や肝嚢胞腺癌などの肝嚢胞性腫瘍

腫瘍性の肝嚢胞には、腺腫といういわゆるポリープのような腫瘍性疾患やいわゆる癌である悪性腫瘍のものがあります。腺腫というのは良性のものを指すことが多いですが、ポリープが癌化することもあります。大腸などでは多いとされていますね。

癌は悪性腫瘍なのはご存じだと思います。ポリープの場合は経過観察になることが多いですが、癌の場合は治療が必要になります。黄疸などの症状が出ることがあるようです。

寄生虫などへの感染による肝嚢胞

寄生虫感染症による肝嚢胞の原因となるのはエキノコックスと言われる寄生虫です。エキノコックスとは単包条虫または多包条虫の幼虫のことで、エキノコックス症もしくは包虫症と呼ばれます。

多くの場合は小児期に感染するようですが、大人になってから発症することもあるようです。症状としては腹痛や黄疸、発熱などが挙げられ、肺に嚢胞ができて破裂に至ると咳や胸痛、喀血が起こるとされています。

診断はMRIなどで包虫や嚢胞を確認することで下されます。エキノコックス症に対する薬であるアルベンダゾールや抗生剤が処方されますが、根本的な治療としては手術で包虫を取り除くこととされています。幼虫をすべて除去できない限り予後は悪いとされ、肝移植が選択される場合もあるようです。

治療適応と実際の治療

健康診断などで肝嚢胞が見つかったり疑いがもたれても、それが明らかに良性のものであると判断されれば治療の必要はないとされています。ただし大きさの変化がないかなどの経過は追っていく必要があり、1~2年に一度は定期診察を受けることが推奨されています。

治療が必要と判断されるのは大きくなって症状を出している場合や、腫瘍性・感染性などの場合です。具体的な治療をみていきましょう。

巨大肝嚢胞は穿刺してドレナージを行う

治療適応となった巨大肝嚢胞や肝嚢胞性腫瘍の場合は、外科手術を行って切除する場合もありますが内科的に処置することもあるようです。巨大化したものや癌などの悪性腫瘍の場合は外科手術が第一選択です。腹水などを合併している状態で、50cmほどの大きさになることもあるようです。

内科的な処置としては経皮的に嚢胞に対して穿刺して、貯留液のドレナージを行い排出します。これらの処置を超音波で観察しながら行うようです。穿刺部の感染などが合併症として考えられますが、きちんと処置や看護を受けることで問題になることはほとんどないとされています。

再発防止のためにミノマイシンを注入する

嚢胞を穿刺して貯留液をドレナージして排液しても、再発してくる場合も多いようです。再び貯留液が溜まり嚢胞が形成されるということです。再度圧迫が起これば症状も出てきます。

この再発予防のために、ドレナージの際に嚢胞にエタノールやミノマイシン(ミノサイクリン)などの薬品を注入して内皮を固定するようです。袋の細胞が死滅することで膨らまなくなるということです。

内科的な処置は一般的なもので突出した実績がある病院はないですが、東京都では東京慈恵会医科大学附属病院や東京女子医科大学病院が多いようです。肝嚢胞の経皮的ドレナージの算定は10800点とされています。10倍にして負担割合で割ったものが費用の目安です。

手術適応は腫瘍性のものや判別が難しいもの

肝嚢胞で外科手術の適応となるのは、腫瘍性のものや腫瘍がありそうだが生検してみないとわからないというものです。以前は開腹手術で嚢胞を切除していましたが、現在では腹腔鏡を使った手術が行われるようです。内科的な穿刺やドレナージで苦痛が大きい場合も外科的に処置するとされています。

外科手術では開窓術といって嚢胞の天井を取り除き再発を防げることが特徴のようです。腫瘍がある場合にも可能な限り切除を行い、疑いのある場合には生検に回します。内視鏡による手術なので身体への負担も少なく早期に離床できるとされており、開腹による手術と再発率などに変わりは認められないようです。

一般的な術式としては他に嚢胞壁剥離切除術や部分肝切除術などがあるようです。肝嚢胞摘出術の算定は28210点とされていて、これも10倍して負担割合で割ったものが費用の目安です。あくまで手術自体の診療点数ですので投薬やその他の診療点数も加算されます。

難病指定の多発性肝嚢胞

多発性肝嚢胞とは、漢字の表す通り肝臓に嚢胞が多発する疾患です。先天性のものと同じく多くは良性のものです。遺伝性疾患の一つとされ、オランダやノルウェーでの研究では原因となる遺伝子とその変異が報告されています。

多発性肝嚢胞は、肝臓のみに嚢胞が多発するタイプのものと腎臓などにも嚢胞ができるタイプのものがあるとされています。前者の発症頻度は2000から4000人に1人、後者は10万人に1人とされています。

日本では遺伝子との関連が明らかになっていない

遺伝性疾患の一つと上述しましたが、日本では原因と疑われる遺伝子との関連は明らかになっていません。無症状の経過が多いことから治験の数も少なく、科学的根拠という観点からするといまだ原因不明という状態です。疫学についても詳細は不明のままとされ、調査の必要があるとされています。

遺伝子の他には、女性に発症が多いことから女性ホルモンとの関連も指摘されているようです。これも今後の研究や調査が課題とされています。

無症状のことが多いが合併症に注意

先天性の肝嚢胞と同じで無症状のものが多いとされていますが、嚢胞が多くなって巨大化すると圧迫などの症状が出るようです。圧迫による症状としては呼吸困難や運動障害も挙げられています。他に腹痛や下腿浮腫、ヘルニアなどがあるようです。

血液検査では肝機能の障害は認められないことが多いですが、感染や嚢胞出血などがあると肝機能に影響します。この場合は発熱も起こるようで、まれに腹水や黄疸などもみられるとされています。約半数には多発性嚢胞腎も合併すると言われていて、膵臓や肺にも合併することがあるようです。

診療ガイドラインも手探り

多発性肝嚢胞に対しては、厚生労働省から診療ガイドラインが出されています。厚生労働省難治性疾患克服研究事業の多発肝のう胞症に対する治療ガイドライン作成と試料バンク構築班による研究・調査です。しかし上述のように、原因がはっきりと明らかにされていないことや治験の数が少ないことからガイドラインも手探りであることを認めています。

信頼のおける科学的根拠(エビデンス)が示せないことから、ガイドラインでは一般的な治療の推奨度などは記載されていません。これまでの治療方法や結果についてまとめられたもので、参考程度のものとされています。

治療方法はほとんど同じ

多発性肝嚢胞の場合も治療方法はほとんど同じで、無症状であれば治療の必要はなく、治療が必要な場合は嚢胞の容積減少や必要であれば肝臓の部分切除を行うようです。可能な限り再発を抑える選択がされます。

他には嚢胞を栄養している動脈を塞ぐ方法や、唯一の根治治療としては肝移植が挙げられています。しかし肝機能が保たれているにも関わらず肝移植をするという点は複雑な因子であり、多くは重症の場合や他の合併症がある場合に肝移植が行われるようです。

肝嚢胞がみつかったら経過観察と定期検診を怠らず!

肝嚢胞について先天性の肝嚢胞の病態や治療方法などをみてきたあとで、腺腫や悪性腫瘍などを含めた後天性の肝嚢胞、そして難病に指定されている多発性肝嚢胞についてみてきました。主に良性である腺腫や悪性腫瘍などの違いは理解できたでしょうか。

肝嚢胞に共通していることは悪性のものでなければ、症状が出ていないうちは経過観察を怠らなければまず安心ということです。健康診断などで見つかった場合は定期的に検査を受けましょう。

またもし肝嚢胞がわかっていて症状がある場合はドクターとよく相談して治療を受けましょう。肝嚢胞はそれ自体が悪性化することは少ないとされていますが、起こらないことがないわけではありません。治療が必要な場合には適切な治療を受け、必要ない場合には定期の検査だけしっかり受けるようにして慌てることのないようにしましょう。

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