四十肩やの痛みはとても辛いものですよね。ある日突然痛くなって、どんどん痛みが増していく…四十肩の治療は、医師の指導のもとしっかり治療するべきです。しかし、忙しくて病院に行く時間がない、という方もいると思います。そんなときは、今の自分の症状がどの段階なのかを知り、今何をするべきなのかを把握しておきましょう。
目次
四十肩ってどんな症状がでるの?
四十肩の主な症状は
・肩や腕に痛みが出る。
・腕が高く上がらなくなる。
・手が上手に使えなくなる。
・肩の関節の動きが悪くなる。
・肩を動かす際に痛みを感じる。
などのような症状があります。
よく、服を着るときや吊革につかまろうとしたときに違和感を感じた…という話を聞きますが、このような症状が四十肩の発症なのかもしれません。
四十肩にも3つの時期があり、症状や治療法は異なります。間違った治療法では症状が悪化したりなかなか治らなかったりすることもありますので、症状に合った治療やリハビリをするようにしましょう。
そもそも四十肩ってどんな病気?
四十肩は、肩こりの症状とは違い「病気」の一つです。放っておいても治るものではないため病院で医師に診てもらうことが必要です。
また、発症しやすい年齢や性別などもありますので詳しくお話していこうと思います。もし当てはまるようならば、四十肩になるリスクが高いかもしれません。
正式には「肩関節周囲炎」という
ご存知の方もいるかもしれませんが、四十肩や五十肩は、実はどちらも同じ病気です。正式には「肩関節周囲炎」というる疾患で、肩の関節の周りに起きる炎症性の疾患のことです。
肩は、後ろに引いたりぐるぐる回したりといろいろな方向に動かせるようになっています。しかしこのような同じ動きばかりををしていると、筋肉が固まってしまいほかの動作をすることが困難な状態になってしまうのです。
現代では、パソコンやスマートフォンを操作する時間が多くなっているため、肩や首が体より前に出ている状態で固まってしまっていることが多いそうです。この状態でいつもと違う動きをしようとしたときに痛みが出てしまうと言われています。
このような症状が40代で起こりやすいことから「四十肩」と言われているのです。五十肩は、この症状が五十代で起こったときに使われるそうです。
中年以降の方に好発しますが、若い方も注意が必要
好発年齢は40代~60代ですが、70代の方も20代・30代の方も誰にでも起こりうる病気です。関節を形成する骨や軟骨、靭帯、腱などが加齢により老化するため、中高年以降に好発するようです。
四十肩と聞くと、若い人が発症するイメージがあまりないですが、20代や30代の若い方でも発症することがあるというのですからびっくりです。
特に若い方はスマホやパソコンを触っている時間が長くなっていますし、これが四十肩が若い人に起きる原因の一つなのかもしれません。最近肩が痛いな…と思っているあなた。もしかしたら四十肩かもしれません。
男性よりも女性に発症しやすい
四十肩は、男性よりも女性に多く見られるようです。女性が示す体の症状の第1位に「肩こり」がありますが、人口1000人に対して130人もの割合で存在するそうです。男性は2位に肩こりが入るそうです。
肩こりを訴える方の約60%に、肩関節周囲炎(四十肩)のような症状が見られるとのことなので、1000人中、約80人ほどが肩関節周囲炎(四十肩)のリスクがあるということになります。
ただの肩こりかな…と思っている人の中に、肩こりではなく「肩関節自体」に痛みがある方がいるということになります。違和感のあるときは、無理して動かさないように注意しましょう。
基本は片方だけに発症する
左右の肩が同時に発症することもありますが、とても少ないようです。通常は「片方の肩」だけに発症し、しばらくしてからもう片方に発症することもあるようです。
片方だけでも辛いですが、両方とも発症してしまうと生活するのもつらくなってしまいます。調子がおかしな…と感じることがあれば、早いうちに病院へ行ってみてもらいましょう。まずは整形外科で診てもらうことをおすすめします。
四十肩になりやすいのはこんな人!
四十肩は、利き手や職業(デスクワークなど)に関係していると言われています。他にも基礎疾患のある方は四十肩になりやすいと傾向にあります。
◎糖尿病
糖尿病の患者さんは、四十肩になりやすいと言われています。糖尿病の患者さんの10~20パーセントの方が四十肩を発症すると言われています。
◎その他の病気
他にも、甲状腺機能低下症(橋本病など)、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、パーキンソン病、心臓病などの疾患のある方は、四十肩になりやすいと言われています。
基礎疾患のある方は、四十肩の治療だけでなく、内科的な病気の治療を医師の指導のもとしっかり行うようにしましょう。
四十肩の症状にはどのようなものがあるの?
四十肩には、痛む場所や痛み方に特徴があります。痛みが強い時期には、肩のことしか考えられないくらいの痛みがあることも。
私たちは、痛いことを無理やりしようとは思いませんよね。四十肩も同じです。痛いのに無理やり動かす人はいないのです。しかしこれが悪循環を招いてしまいます。
不安になることもあるかもしれませんが、症状をちゃんと知れば、不安が解消されるかもしれません。ここでは主な症状についてお話していきます。
肩のこわばりや痛みがある
四十肩になると、肩の関節を動かすだけで痛みがあります。髪の毛をセットするときや洋服を着脱するとき、電車で吊革につかまるときなど、日常生活の様々な場面で痛みを感じるようになります。
痛みは、肩の外側ではなく胸側を押したときに強く現れるのが特徴です。肩だけでなく二の腕や肘あたりまで痛みやしびれがあったり、肩が常に重く首や耳の後ろまでだるく感じたりします。
最近では、肩の痛みとともに高血圧を呈する患者さんが多いようです。この場合、肩の症状が治ると高血圧も落ち着くようです。肩の痛みで高血圧を発症する場合もあるのです。
激痛で目がさめる・痛くて眠れない
四十肩は、じっとしているときでも肩の関節が痛み、夜中に無意識に寝返りをうったときに、激痛で目が覚める…ということもあるのです。
時には、ズキズキと痛み眠りにつけないこともあると言います。痛いほうの肩を下にすると激痛があるため、寝る姿勢も制限されてしまいます。
毎晩四十肩の痛みで眠れずに睡眠障害を起こすこともあるため、睡眠をサポートするために睡眠薬を処方することもあるのだそうです。
肩を動かせる範囲が狭くなる
四十肩を発症すると、肩を動かすときにも痛みを感じるようになります。また「動かすと痛い」という気持ちから、肩をあまり動かさないようになります。
痛くて動かしづらい上に、恐怖心で動かせない…という二重の制限が加わることにより、できるだけ肩を動かさないように生活するようになります。このような生活を続けていると、肩関節が少しづつ拘縮してしまいます。
拘縮するとさらに痛みが増し、今まで以上に動きが制限されてしまいます。その結果ちょっとした動きにも痛みを感じるようになり、悪循環に陥ってしまうのです。
発症から治癒までの段階と治し方
四十肩の進行は、3つの段階に分けることができます。この3つの段階ごとに、痛み方や腕の可動域などもさまざまです。
四十肩はとにかく動かせ!と言われたことのある人もいるかもしれませんが、動かしてはいけない時期と積極的に動かしたほうがいい時期があります。
間違った治療をして、悪化したりなかなか治らない…、なんてことにならないよう、自分がいまどのような状態なのかを把握しておくことが大切です。
急性期(炎症期)の症状と治療
急性期は、炎症を起こしている時期になります。この時期は、肩の痛みはどんどん進行していきます。痛みが大きくなるにつれ肩の関節可動域は小さくなっていきます。
肩関節が炎症を起こしているため、鋭い痛みがあります。夜眠れなくなったり起きてしまうようなことがあるのは、この「急性期」になります。短くて6週、長いと9か月ほど続くことがあります。
この時期の治療は、まず炎症を取ることを優先します。四十肩には非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)では効果がないことも多いようです。このときはステロイド薬を処方されることもあります。また、不眠が続くようなときには睡眠薬も処方されることがあります。
慢性期(拘縮期)の症状と治療
慢性期は、肩の痛みが少し落ち着いてくる時期です。しかし先ほどお話ししたように、肩を使わないように生活していたため、肩関節の動く範囲が狭くなってしまっています。
この時期に動かさないと、肩関節はどんどん拘縮が強まってしまいますから、多少の痛みがあっても動かすようにしなくてはなりません。
無理をすると悪化してしまうこともあるので、無理のないように、動かせる範囲内で毎日しっかりと動かしていくことが大切です。
回復期の症状と治療
回復期は、肩の痛みをほとんど感じなくなってくる時期です。しかし、肩関節の動きが元通りになっているわけではなく、まだまだリハビリが必要な時期になります。積極的にリハビリを行って、早いうちに肩の動きが元通りになるようにすることが重要です。
この時期は、凝り固まった肩が「溶け始める時期」とも言われることがあるそうです。完全に治るか、それに近い状態になるまでは、6か月~2年ほどかかることがあるようです。
動きづらいからと言って動かさなかったり、少し痛むから言って動かさないとなかなか元には戻りません。自宅でで来るストレッチもありますので、しっかり行うようにしましょう。
自宅でできる!四十肩に効くストレッチを紹介
四十肩になると辛い痛みが続きますが、家で和らげる方法があります。紹介するので一度ためしてみてください。
肩の伸展と屈曲~アイロン体操~
アイロン体操は、腕の付け根から前後に動かすストレッチです。肩の伸展と屈曲のリハビリになります。やり方はとても簡単です。
◎やり方
1.机やいすの背もたれで体を支え、痛いほうの側でアイロンを持ちます。
2.肩の力を抜き、アイロンを前後に振ります。
3.最初は小刻みに、どんどん振り幅を大きくしていきます。
これを1日2回、20回ほど行いましょう。アイロンでなくても、ペットボトルなどのおもりで代用ができます。
肩の外旋と内旋~うちわ運動~
うちわ運動は、肘を体につけ90度曲げた状態で前に伸ばし、うちわを仰ぐように動かす動作です。肩の外旋と内旋のリハビリになります。
◎やり方
1.椅子に座り、脇をしめて肘を90度曲げて手を前に出します。(小さい前ならえのような感じです。)
2.うちわを持ち、脇と肘を開かないように左右に振ります。
やってみるとわかるかと思いますが、この動作が一番辛いかもしれません。無理をすると痛みが増してしまうかもしれませんので、できる範囲で行うようにしましょう。
肩の外転~棒体操~
これは、肩幅よりも長い棒を持って行うストレッチです。腕の付け根から左右に動かすストレッチで、肩の外転のリハビリになります。
◎やり方
1.肩幅よりも長めの棒の両端を持ちます。
2.そのまま痛いほうの側へ棒を突き上げる動きをします。
これを無理のない範囲で行いましょう。棒は、突っ張り棒のようなものがあるとやりやすいです。周りにぶつからないように気を付けて行いましょう。
痛みが強い場合は無理をしない!
四十肩の痛みが落ち着いてきたら、肩関節の動きを戻すために、できるだけ肩を動かすようにしなければなりません。しかし、痛いのに無理をすると、また肩関節を痛めてしまい四十肩が悪化する場合もありますので気を付けなくてはいけません。
ストレッチをする際は、医師やリハビリ専門のスタッフに相談しましょう。無理のない程度に毎日継続することが一番の近道です。
ストレッチをおこない四十肩とサヨナラしよう!
四十肩は痛いですし、日常生活にも支障が出てしまうため、ストレスがたまりますよね。痛みが治まってきても動かしづらくとてももどかしい…
動かすと痛いからと言って、全く動かさないのは、治療どころか肩の可動域を狭めてしまう危険がありますので注意しましょう。
痛みがあるときは早いうちに整形外科で診てもらい、痛みが治まってきたら積極的にストレッチを行いましょう。ストレッチを行う際は、お風呂上りなどの肩が温まっているときに行うのが良いそうです。お風呂上がりでなくても、温かいタオルなどで温めてから行いましょう。
症状に合わせてしっかり治療・リハビリを行い、痛みやもどかしさなどのストレスのない日常生活を送れるように頑張りましょう!