1.アセチルコリン(ACh)系
短期記憶レベル向上
-アセチルコリンによる大脳抑制回路の活性化が神経細胞の反応をシャープに-
脳機能調整薬
(1)ピタセラム(ヌートロピル)
・認知機能を強化し脳の老化を防ぐといわれている。
・大脳左右半球の情報の伝わり方が改善され認知機能全般が向上。
・アメリカの学生の間では知的能力を高める薬として有名。
・きわめて安全な抗血栓薬で、血液細胞の変形能を増大させたり、血小板凝集を阻害させる。
・ピラセタムはふつう800mgのタブレットまたはカプセルになっている。推奨される投与量は1.6gから9.6g。
(2)アニラセタム(Ampament)
・ピラセタムの効力をさらに高めたスマートドラッグで、脳機能を改善する。
・記憶力や学習能力を向上させ、創造的な思考を促進するだけでなく、不安やうつを軽減する作用。
・記憶力、学習能力、注意力など脳機能改善の効果が期待できる。
(3)ヌーペプト(Nupept)
・認知機能を高めることにより、集中力や記憶力を向上させる。
・気分を高めたり、ストレスの緩和などの効果が期待できる。
・ロシアで生まれたスマートドラッグだが、発癌性とドーパミン受容体の損傷が議論されてる。
コリンソース
(1)コリン
・ピラセタムを飲むとコリンを大量に消費するので、サプリでコリンを補充するのが推奨されている。不足すると頭痛を引き起こす。
・アメリカの食品栄養委員会による推奨摂取量は、成人男性で1日あたり550mg、成人女性で400~425mg、妊娠期は450mg、授乳期は550mgが推奨されている。上限値を成人男女ともに3000~3500mg。コリンの推奨摂取量は日本で定められていない。
・血液脳関門(BBB:blood-brain barrier)を通過しづらい。
・コリンは容易に空腸から吸収されるが、大部分は腸内細菌により分解され、悪臭を放つ。
・コリンの中でも、卵や大豆に含まれているホスファチジルコリンだけは、腸内細菌により分解されない。
・ビタミンB12の働きにより、効率よくアセチルコリンが脳内で合成される。
(2)α-GPC
・α-GPCは、ホスファチジルコリンから2個の脂肪酸を脱アシル化した水溶性化合物
・血液脳関門(BBB)を通過するため、コリン補給剤として中枢に作用する。
・母乳に含まれるなど赤ちゃんにとっても重要な成分。生体内に普遍的に存在する物質であり、食品としての安全性も確認されている。
・サプリメントとしては高価。
(3)レチシン
・レシチンは卵黄などに含まれる栄養成分で、体内でもつくられ、脳や肝臓の働き、免疫機能にかかわる物質。
・分子が大きすぎて脳の血液脳関門(BBB)を通過しにくく、脳神経細胞に届きにくい。
・レシチンが摂取されると、腸管から吸収されて、その一部がコリンを生成する。
・レシチンは、脳細胞や神経細胞、骨髄、肝臓、心臓などに多く含まれている。特に脳には乾燥重量にして約30%も含まれている。
・躁鬱病の人は、鬱状態を悪化させる可能性がある
(4)CDPコリン(シチコリン)
・CDPコリン(シチコリン)は、ホスファチジルコリンをつくる原材料になる。
・体内でアセチルコリンをつくるのに、ホスファチジルコリンの形で摂取するより、CDPコリンで摂取した方が効率が良いとされている。
・最近は同じコリンの前駆体でも、アルファGPCの方が評価が高い。
(5)DMAE
・DMAE (ジメチルアミノエタノール)とは、魚に含まれるDHAおよびEPA等の魚の脂肪酸に含まれる成分。
・アセチルコリンの原料となるコリン前駆体となる。
・アメリカでは、DMAEをうつ病の治療・軽減のために処方している病院もある。
・DMAEは、肌のしわを減らす効果もある。
アセチルコリン分泌補助
(6)パントテン酸(ビタミンB5)
・アセチルコリンの合成にかかわる。
・ピラセタムの摂取時における準必須とされており、効果が高まる。
・パントテン酸を補給する薬にパンテチンがある。
(7)アセチル-L-カルニチン(Acetyl-L-Carnitine)
・アセチル-L-カルニチンは、血液脳関門を通過して脳内に到達し、アセチルコリンの量を増やす。
・アルツハイマー病の初期症状の改善に効果があることが報告されている。
2.血流改善系
ピラセタム系と血流改善系の組み合わせにより、効果を最大限に高めることがあできる。
ビンポセチン、ビンカミン
・脳の血管に作用して、脳の血流循環を良くする効果がある。
・脳梗塞の後遺症や脳動脈硬化症の治療薬として使用され、脳内のエネルギー生産を増加させる。
・記憶力や知覚認識力を向上させる。
・脳の毛細血管だけに作用するので、全身の血管を拡張するようなことはなく、急激な血圧の低下などの症状はみられない。
・脳細胞でのグルコース利用度を上昇させて脳を活性化させます。
・視覚、聴覚が敏感になる。
・ビンポセチン [Vinpocetine]は別名カビントン [Cavinton]とも呼ばれ、脳を活性化させるハーブ。ヴィンカ・マイナー(和名:ヒメツルニチニチ草)という植物から取れるアルカロイドの一種。
バコパ
・インドのアーユルヴェーダで、記憶力に関わるハーブとして使われている。
・アメリカでは記憶力がアップするとして人気のサプリメント。
・副作用の多いサプリで、腹痛や下痢、おう吐に悩む人が見られる。
ギンコビロバ(イチョウ葉)
・古来から血流を改善し、循環器系疾患や痴呆などに効果のある植物として使用されてきた。
・ドイツでは10年以上前から脳機能を改善すると認められている。
・脳の活動において重要なブドウ糖の代謝を向上させる効果があることも分かっている。
・ギンコビロバ(イチョウ葉)を摂取してから1時間以内に脳内α波が上昇し、その後3時間高い基準値を保つ。
3.脳神経成長因子(NGF)系
ALC(アセチル-L-カルニチン)
・アセチル-L-カルニチンは、血液脳関門を通過して脳内に到達し、アセチルコリンの量を増やす。
・アルツハイマー病の初期症状の改善に効果があることが報告されている。
・末梢神経のダメージを軽減し、修復を促進する効果。
・日本ではサプリメントとして認可されていない。
ヒューペルジンA
・非常に安全な物質で、副作用もなく2μg/ kgの用量で6時間効果が持続します。
・ヒューペリジンAは、トウゲシダの葉から抽出精製される成分。
・アセチルコリンを増やし記憶力の減退、認知能力の低下を改善
ヤマブシダケ、ヒメマツタケ(アガリクス)、マイタケなどのキノコ
・特にヤマブシダケの効果が高い。
・ヤマブシタケはグリア細胞からの神経成長因子の合成を刺激する活性化合物を含んでいる。
・認知症予防のほか、消化不良や身体の虚弱改善などさまざまな効果がある。