最近流行りのシェアハウスですが、ひとり親になった母子や父子が、シェアハウスに住んでいる場合でも、児童扶養手当を受給することができるか調べてみました。
参考になる情報を調べてみたら、平成27年の厚生労働省からの通知が見つかりました。
それによると、シェアハウスに住んでいても、児童扶養手当の受給を継続できる場合は、
①:個室スペースに施錠ができて、入居者同士が互いの個室スペースに自由に出入りできないようになっている
②:入居者がそれぞれ別世帯であることが賃貸借契約書で確認できる
③:光熱水費の使用料が按分されているなど生計がそれぞれ別になっていて、書類で客観的に確認できる
④:入居者が多数存在する
などの点について、当てはまっているかどうか聞き取りを受けることになります。
↓↓↓以下が、その通知の全文です。↓↓↓
○児童扶養手当の取扱いに関する留意事項について
(平成27年4月17日)
(雇児福発0417第1号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長通知)
児童扶養手当の事実婚の解釈については、「児童扶養手当及び特別児童扶養手当関係法令上の疑義について」(昭和48年5月16日付け児企第28号厚生省児童家庭局企画課長通知)において、「当事者間に社会通念上夫婦としての共同生活と認められる事実関係」が存在していれば、事実婚が成立しているものとして取り扱うこととされているところである。
事実婚に該当するか否かの判断に当たっては、個々の事案により受給資格者の事情が異なることから、形式要件により機械的に判断するのではなく、受給資格者の生活実態を確認した上で判断し、適正な支給手続を行っていただくようお願いする。
なお、いわゆるシェアハウスで居住する場合等における児童扶養手当の運用に関して疑義が生じていることから、生活実態の確認方法や具体的事例に則した考え方を別紙のとおりまとめたので、事務取扱上の参考とされたい。
あわせて、管内市(指定都市、中核市、特別区を含む。)町村に対する周知について、特段の配慮をお願いする。
別紙
(問1)異性が入居しているシェアハウスなどに受給資格者が入居する場合、事実婚となるのか。また、事実婚か否かを判断するに当たって、具体的に何を確認すればよいのか。
(答)
いわゆるシェアハウスなど、リビングルーム、浴室、トイレ等の共有スペースと個室スペースで構成されており、不特定多数の世帯が入居することが可能となっている一つの建物に受給資格者が居住している場合においては、その居住形態は様々な形態が有り得る。
このため、「シェアハウス」など名称の如何を問わず、当該建物に入居している事実のみをもって資格喪失要件に該当すると判断するのではなく、受給資格者が特定の異性との間に社会通念上夫婦としての共同生活と認められる事実関係が存在しているかどうか、入居時の経緯や入居状況、生計同一関係等の事実関係を総合的に勘案の上、個別に判断されたい。
具体的には、
・ 個室スペースに施錠が可能であり入居者同士が互いの個室スペースに自由に出入りできないようになっている、
・ 入居者がそれぞれ別世帯であることが賃貸借契約書で確認できる、
・ 光熱水費の使用料が按分されているなど生計を異にする事実があり、当該事実について客観的に確認できる書類がある、
・ 入居者が多数存在する、
など、特定の異性との事実婚が疑われるような生活実態ではない場合には、社会通念上夫婦としての共同生活があると認められる事実関係が存在せず、資格喪失要件に該当しないと考えられる。
なお、居住形態や入居する他の者との関係で、特定の異性との事実婚の疑義が生じる場合には、受給資格者等に事実関係の確認や必要な書類等の提出を求める等した上で、適正な受給資格の認定を行われたい。
(問2)受給資格者が、従兄弟などの婚姻が可能である親族と同居している場合、事実婚となるのか。叔父の住宅に転入してきた場合はどうか。
(答)
従兄弟・叔父等の親族と同居していることをもって事実婚と取り扱うのではなく、例えば、同居に至った経緯や理由、当事者以外の親族との同居の有無、生活状況や生計同一関係等を確認されたい。
(問3)児童扶養手当を受給している母子と同一住所地に義理の姉(元夫の姉)及びその内縁の夫の住民票があり居住している。住民票の世帯分離はしており、受給資格者、義理の姉及び内縁の夫はそれぞれ住民票上は世帯主となっている。建物は普通の一軒家で二世帯住宅のような構造ではない。この場合、事実婚となるのか。
(答)
同居男性が義理の姉と内縁関係にあれば当該男性が受給資格者と事実婚状態にあるとは考えにくいため、当該男性と義理の姉との内縁関係を確認されたい。
内縁関係については、例えば、住民票や賃貸借契約書上の記載、当事者間における婚姻の意思や親族・友人等からの証言、冠婚葬祭への出席、見合い・婚約・結納・挙式等婚姻儀礼の有無、妊娠・出産に関連する記録等を確認することが考えられる。
この他、同居に至る経緯や理由、家の間取りや生活状況、生計同一関係等を確認し、個別に判断されたい。
(問4)離婚後、元夫は実際には居住していないが、住宅ローンの支払のために住民票を移動していない。また、住宅ローンは実際に元夫が負担している。この場合、事実婚となるのか。
(答)
現地調査や、元夫の住居に係る賃貸借契約書等により、元夫が受給資格者と同居していないことが確認できる場合には、事実婚状態にあるとは言えない。
なお、事実婚は、原則として同居していることを要件としているが、頻繁に定期的な訪問があり、かつ、定期的な生計費の補助を受けている場合には、同居していなくとも成立すると取り扱っていることに留意する必要がある。
(問5)自営業の受給資格者宅に従業員が住込みで就業している場合、事実婚となるのか。
(答)
自営業の受給資格者宅に従業員が住込みで就業していることのみをもって事実婚と取り扱うのではなく、例えば、従業員が住み込みで就業している経緯や理由、就業期間、家の間取りや生活状況、生計同一関係等を確認し、個別に判断されたい。
(問6)夫の死亡により児童扶養手当の支給対象となるが、夫の死亡前から義父(義母はすでに死亡し、単身異性となっている)と同居している。この場合、事実婚となるか。
(答)
夫の死亡前から義父と同居しており、夫の死亡によって、義父のみと同居することとなった経緯が確認できる場合には、夫の死亡により事実婚が成立したとは言えないと考えられるが、必要に応じて、家の間取りや生活状況、生計同一関係等について確認を行われたい。
(問7)児童扶養手当受給中の母子世帯の住所に、高齢単身男性の住民登録があり、受給者に事情を聴くと、①訪問介護でお世話をしていた患者で現在入院中、②単身男性は住所を引き払ったが住民登録がなくなるため、受給者のところに一時的に住所を設定したとのこと。本人の申告のみで夫婦関係にないのか判断できず、夫婦関係でないことの客観的な証明は確認できないが、今後施設に入所したら、住民登録を動かすとの申立てがあった。この場合、事実婚となるか。
(答)
本人の申告内容だけでなく、当該高齢単身男性が現在入院中であるかどうかなど、当該男性の居住実態を確認する必要がある。受給資格者と同居していないことが確認でき、また、頻繁に定期的な訪問及び定期的な生計費の補助がない場合には、事実婚には該当しないと考えられる。
なお、夫婦関係にないことの客観的な証明が確認できないことをもって事実婚に該当するものではなく、同居に至る経緯や理由、生活状況や生計同一関係等、様々な事実関係を確認した上で、事実婚に該当するか否かを判断されたい。
(問8)受給資格者と前夫が同じマンション(部屋は別々)に住んでおり、対象児童が受給資格者と前夫の部屋を行き来している場合、事実婚となるか。
(答)
受給者と前夫が同じマンションに住んでおり、それぞれの部屋を対象児童が行き来する事実だけでは事実婚が成立しているとは言えない。受給資格者・関係者からの聞き取りや現地調査等により、頻繁に定期的な訪問及び定期的な生計費の補助の有無について確認されたい。