目次
事件の概要
本件は、東京都港区所在の複数土地について、納税者が固定資産課税台帳の登録価格を不服として、固定資産評価審査委員会に審査申出を行ったところ、
一方は棄却、他方は却下とされたため、これら裁決の取消しを求めた事案です。
原告は、登録価格が過大であるとして、一定額を超える部分の取消しを求めました。
裁判所は、画地認定、地方税法349条2項ただし書の適用、評価基準との整合性、適正時価との関係を順に検討し、
最終的に原告の請求をいずれも棄却しました。
争点
- 本件各土地の画地認定をどのように行うべきか
- 地方税法349条2項ただし書による評価の要否・相当性
- 登録価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回るか
- 登録価格が客観的交換価値(適正な時価)を上回るか
- 審査申出に対する棄却・却下裁決の適法性
裁判所の判断ポイント
1. 画地認定と評価手法の前提整理
裁判所は、まず対象土地の現況・利用関係を踏まえて画地認定を行い、そのうえで評価基準の適用可否を検討しました。
価格の当否は、最終金額だけでなく、前提となる画地の捉え方が適切かどうかに左右されることを示しています。
2. 地方税法349条2項ただし書の適用判断
当該年度における事情を踏まえ、ただし書評価の適用場面かどうかが検討されました。
裁判所は、評価過程に看過し得ない違法は認められないとして、被告側の評価方法を是認しました。
3. 評価基準価格との関係
原告は登録価格の過大を主張しましたが、裁判所は、算定過程に特段の不合理・瑕疵はないとして、
登録価格が評価基準によって決定される価格を上回るとは認めませんでした。
4. 適正時価(客観的交換価値)との関係
登録価格が客観的交換価値を上回るとの主張についても、
これを基礎づける的確な証拠が不足するとして採用されませんでした。
評価基準論と時価論の双方で、具体的な立証の必要性が示された判断です。
5. 裁決(棄却・却下)の適法性
上記検討を前提に、審査申出1を棄却した裁決、審査申出2を却下した裁決のいずれについても違法はないと判断され、
取消請求は認められませんでした。
判例データ
| 裁判所 | 東京地方裁判所 民事第38部 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成27年(行ウ)第60号 |
| 事件名 | 裁決取消請求事件 |
| 判決日 | 平成28年4月22日 |
| 結論 | 原告の請求をいずれも棄却 |
| 主要論点 | 画地認定、地方税法349条2項ただし書、評価基準適合性、適正時価、裁決適法性 |
注意書き
本記事は判決内容の整理・解説を目的とする一般的な情報です。
同種事案でも、土地の現況、評価資料、年度ごとの法令・通達適用関係により結論は異なり得ます。
実際の検討にあたっては、判決原文および最新の法令・実務資料をご確認ください。