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固定資産税評価の適法性と審査申出の範囲|東京高裁平成13年(行コ)第1号

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事件の概要

本件は、別表記載土地の共有持分を有する納税者が、平成12年度分の固定資産課税台帳に登録された価格について
審査申出をしたものの、固定資産評価審査委員会により棄却されたため、その審査決定の取消しを求めた事案です。
一審は請求棄却となり、控訴審(東京高裁)でも「本件控訴を棄却する」として原判決が維持されました。

控訴人は当審で、①本件土地の台帳は縦覧手続を経ておらず登録価格は無効である、
②土地は利用収益権相当分のみを課税対象とすべきで、評価方法が誤っている、
などを主張しました。
これに対し裁判所は、審査申出で争える範囲をまず整理した上で、
固定資産評価基準に基づく評価の適法性と、収益性に照らした不合理性の有無を検討しています。

争点

  • 審査申出において、縦覧手続などの「評価手続」に関する不服まで争えるか
  • 固定資産評価基準(地方税法388条・403条に基づく評価)による価格決定が適法か
  • 賃料水準・収益還元価格との比較から、評価額・税負担が過重で違法といえるか

裁判所の判断ポイント

1. 審査申出の対象は「登録価格」に限られる

裁判所は、地方税法432条1項により、固定資産評価審査委員会に対する不服申立事項は
「固定資産課税台帳に登録された価格についての事項」に限られると明示しました。
そのため、縦覧手続の適否といった「評価手続」への不服は、審査申出の対象外であり、
賦課処分取消訴訟等の方法で争うべきと整理しています。
この点から、縦覧の有無について委員会が判断しなかったことは、審査決定手続の瑕疵には当たらないとされました。

2. 評価基準に基づく大量評価の合理性

裁判所は、地方税法403条1項に基づき、市町村長は同法388条1項の固定資産評価基準によって
価格決定を行うべきことを前提に、路線価方式・画地計算法による市街地宅地評価の枠組みを確認しました。
その上で、本件では評価基準に沿った評価がされているとして、控訴人の主張を採用しませんでした。

3. 収益性との比較(具体的数値)

判決は、収益性の観点も踏まえて数値比較を行っています。
本件土地(9番を除く8筆)の評価額は1㎡あたり40,649円
これに対し賃貸事例から算定した収益還元価格との比較でも「隔たりがない」としました。
また、賃料を1㎡あたり2,178円/年とした場合、
固定資産税426円・都市計画税81円(合計507円)の税負担割合は約23%であり、
「過酷な割合とはいえない」と判断しています。

さらに、国道反対側地との有用性差や不整形地(合計2,710.72㎡)である点など、
検討の余地がある事情には言及しつつも、
控訴人から適切な判断資料の提出がないとして、最終的に本件評価額を
「収益性から考えても一応適法」と結論づけました。

判例データ

裁判所 東京高等裁判所
事件番号 平成13年(行コ)第1号
主文 本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。
結論 控訴棄却(原判決維持)
主な論点 審査申出の対象範囲(価格事項限定)、固定資産評価基準の適用、収益性主張の当否

注意書き

本記事は判決内容の整理・解説を目的とする一般的な情報です。
同種事案でも、土地の個別事情(立地・形状・利用実態)や提出証拠の内容により結論は変わり得ます。
実際の検討にあたっては、判決原文、関係法令、最新の実務資料をご確認ください。

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